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2018年2月20日 (火)

チャイナ・ミエヴィル『オクトーバー──物語ロシア革命』

チャイナ・ミエヴィル(松本剛史訳)『オクトーバー──物語ロシア革命』(筑摩書房、2017年)
 
 1917年のロシア革命は、実に様々な人物がそれぞれの政治的思惑をもってせめぎ合い、また合従連衡を繰り返し、群像劇としてこの上なく魅力的な舞台と役者を用意してくれた。本書はそれを見事に活用して面白い政治劇を活写している。
 ニコライ二世の無気力、ケレンスキーの戸惑い、そして転変していく状況にのっかっていくレーニン。登場人物は彼らに限らず、次々と現れては消えていくし、二月革命から十月革命にいたる出来事を網羅的に拾い上げながらも、冗漫に流れることなく、一気呵成に読み終えた。分析的に整理することなく、時系列にそって語られるから、その後のことを予期できない登場人物の驚き、戸惑い、判断ミスが、その都度ありありと浮かび上がってくるところが面白い。

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