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2018年2月20日 (火)

【映画】「リバーズ・エッジ」

【映画】「リバーズ・エッジ」
 岡崎京子の原作を読んだのはいつのことだったろうか。川べりの草むらの中にひっそりと横たわる死体。実存的虚無を抱え込んだ心象風景には、その死体は非日常の象徴のように捉えられる。そうした印象だけ記憶していて、こんなストーリーだったかなあ、と思い返しながらこの映画を観ていた。
 
 過食症のモデル。セックスの身体的実感を通してようやく存在感をつかめる少女。セックスと暴力しかない、からっぽな男。同性愛であることを隠して、好きな相手(男)に気持ちを伝えられず、偽装的に女性と付き合う少年。彼らを、どこか冷めた視線で見つめている主人公。それは、映画の視点でありつつ、冷やかさ自体が一種の空虚感でもある。個々のエピソードは衝撃的ではあるが、原作は90年代の少年少女の心象風景をうまく切り取っていたように思う(それは、私自身が思春期を過ごした年代でもある)。煤煙や排水を吐き出し続ける工場、廃墟のような旧校舎は、殺伐とした心象風景を描き出す格好な道具立てになっているが、この映画ではきれいに撮りすぎているようにも感じた。
 
日本/2018年/118分
監督:行定勲
(2018年2月20日、TOHOシネマズ新宿にて)

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