【映画】「不屈の男──アンブロークン」
【映画】「不屈の男──アンブロークン」
主人公のルイ・ザンペリーニは1936年のベルリン・オリンピックに陸上競技でアメリカ代表として出場した経験を持つ。第二次世界大戦が始まると爆撃手として出征したが、搭乗していた爆撃機が洋上に不時着、40日以上も漂流したあげく、拾い上げられたのは敵国日本の艦船だった。送られた先は大森俘虜収容所。彼が出場を熱望していた1940年の東京オリンピックは第二次世界大戦勃発のため中止となったが、捕虜として「念願の地」にたどり着いたことになる皮肉。収容所長の渡辺伍長に目を付けられたルイは連日、虐待を受ける。
アンジェリーナ・ジョリーが監督した第二作目。事前に「反日」映画云々といった話もネット上で出回っていたが、観た感じではそんなことない。エンディングでは実在のルイが80歳になって日本で走った際の映像が映し出され、(取ってつけた感があるにせよ)基本的には日米和解のストーリー立てになっている。
幼い頃、「汚いイタリア移民」といじめられた過去。漂流の過酷な時間。そして、捕虜収容所での虐待。どんな苦難にもめげずに耐え抜いた姿を描き出すのがこの映画の狙いだろう。彼を執拗にいたぶる渡辺伍長がいかにもなおっさんなら惨たらしさが際立ったのだろうが、この映画で起用されたのは美青年(MIYAVIという人)なので、舞台が捕虜収容所ということもあって大島渚監督「戦場のメリークリスマス」での坂本龍一とデビッド・ボウイの密やかな同性愛関係を想起した。ルイの不屈な忍耐力が、いびつな権力欲を振りかざす渡辺伍長をたじろがせる、というのが「アンブロークン」の本来の趣旨なのだろうが、渡辺伍長のルイに対するサディスティックに倒錯した同性愛感情のような印象を受けた。直江津捕虜収容所に移送され、渡辺伍長から離れられたと思いきや、昇進した渡辺軍曹がまたまた現れ、ルイが卒倒しそうになるシーンは、ストーカーから逃れられずヘナヘナ…という感じ。
原題:Unbroken
監督:アンジェリーナ・ジョリー
2014年/アメリカ/137分
監督:アンジェリーナ・ジョリー
2014年/アメリカ/137分
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