【映画】「クミコ、ザ・トレジャーハンター」
日本へ一時帰国する飛行機に乗る前に少し時間があったので、「光點台北」というミニシアターに映画を観に行った。かつてアメリカ領事館だった建物を文化施設に仕立て上げた「台北之家」に附設された映画館で、いずれも侯孝賢プロデュースという形になっていたと思う。「サウルの息子」(索爾之子)と「クミコ、ザ・トレジャーハンター」(久美子的奇異旅程)の2本を上映中で、前者は日本で観るつもりだったので、後者を観た。
東京でOLとして働く久美子は鬱屈した毎日を過ごしている。唯一の楽しみは大好きな映画「ファーゴ」を観ること。とりわけ執心しているのは雪の中に現金を埋めるシーン。あの宝物を探しに行こう! そう決心した久美子は誰にも告げることなく映画の舞台となったアメリカのノースダコタ州へ飛び立った。
ノースダコタ州で日本人女性が凍死した事件は実際にあったそうだ。ただし、失恋を苦にした自殺というのが真相らしいが、死の直前に彼女が出会った人々と英語でのコミュニケーションがうまくいっておらず、誤解から宝探しに来たという都市伝説になって流布していたのだという。「この物語は事実に基づいている」というクレジットがミソか。画面構成や音楽は一貫して深刻な雰囲気を醸し出しているが、彼女のちぐはぐな言動は、むしろ軽快な音楽を合わせたら喜劇のようになったかもしれない。何だか不思議な映画だ。
【データ】
原題:Kumiko, The Treasure Hunter
監督:デイビット・ゼルナー
主演:菊池凛子
アメリカ/2015年/105分
(2016年1月24日、光點台北にて)
原題:Kumiko, The Treasure Hunter
監督:デイビット・ゼルナー
主演:菊池凛子
アメリカ/2015年/105分
(2016年1月24日、光點台北にて)
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