麻豆を歩く、台湾史が見えてくる
台南市の北郊にある街・麻豆。もともとは台南平野一帯に広がっていた台湾先住民族(平埔族)であるシラヤ族の一支族、麻豆(Mattau)社の拠点でした。17世紀にオランダ人が進出してくると奇襲攻撃を仕掛けて多数を殺害するなどの抵抗を示しましたが(麻豆社事件)、やがてオランダの反撃を受け、勢力は衰えていきます。その後は漢化も進み、シラヤ族としてのアイデンティティーは薄れたかのように考えられていましたが、その習俗は意外に根強く残っていたともいわれます。
当時の交易港の跡が発掘されて、現在は麻豆古港公園となっています。麻豆古港公園の近くでは明治製糖株式会社の本社工場跡が総爺藝文園区として整備されていますし、麻豆老街には日本統治時代に建てられたバロック式の街並みが散見されます。また、王爺信仰の麻豆代天府には漢族系習俗の濃厚な雰囲気がうかがわれます。
いずれにせよ、シラヤ族という先住民族、漢人、オランダ人、日本人、様々な出自の人々が織りなした重層的な歴史が、麻豆という町を歩くだけでも意外と見えてくるところが興味深く感じられます。
私自身が麻豆を歩いた記録は以下をご参照ください。鉄道の駅からは遠いのでやや不便ですが、バスを活用すれば意外と何とかなります。台湾南部でちょっと変わったところを旅行したいと考えている方がいらっしゃいましたらご検討の価値はあると思います。
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