東京国立博物館・東洋館がリニューアル・オープン
しばらくブログの更新を怠っていたので、新年のご挨拶代わりに。
1月2日に東京国立博物館の東洋館がリニューアル・オープン(http://bit.ly/VwR4Rb)したので、翌3日に早速行ってみた。私は大学での専攻は考古学だったし、博物館学の授業も一応とってはいたのだが、はるか昔の話。どうでもいいことをいくつか。
私はそもそも中学生の頃から長期休みに入るたびにここを訪れ、社会人になってからも毎年1回以上は通っていたのだが、東洋館が改装作業に入ってからはしばらく足が遠のいていた。他の展覧会を観るため上野へは時折来ていたのだが、東洋館の中は実に久しぶり。
耐震補強工事を機に内部も改装されている。展示スペースにも工夫がこらされ、だいぶ見やすくなって良いと思う。ただ私の個人的な思いとして、「なつかしさ」の感覚がなくなってしまったのは、少々残念かな。中学生のとき、自由研究の宿題で中国の古代文明について調べるために来たのが、私の東洋館初体験。その頃から内部の雰囲気が変わっていない、ある意味、時間を超越した(?)場所としてここが好きだった。言い換えると、10代の頃に夢見ていた色々を、大人になっても胸中に思い返す場所として通っていたのだが、マジメな話、色々と鬱屈したものを抱えていたときでも、結構気分が落ち着いたものである。もちろん、そんなことはあくまでも私個人の事情に過ぎない。
今回の改装で展示スペースが地下のフロアまで広がり、東南アジア専門の展示室が増設された。インドネシアのワヤン、インドの細密画などは新しい展示品だ。朝鮮半島の展示スペースは以前から拡張傾向にあったが、さらに広がったように思う。日本の東洋学の成立経緯を考えると、ざっくり言って東洋史=中国史+αのような枠組みが中心となっていたが、それはとっくに過去の話で、中国以外の地域も中国に匹敵するスペースを割くような構成になっているのはそうした背景がしっかり反映されている。その分、全体に占める中国史の比重は低下したとも言える。
中央アジア関係の展示スペースの横に大谷探検隊の特別室が設置されているのも嬉しい(もっとも、展示品は少ないが)。私は大学の卒業論文でタクラマカン砂漠に埋もれたオアシス都市遺跡をテーマとしたので、思い入れは感じる。ただし、その時の論文そのものは、オーレス・スタインの探検記兼発掘報告書とも言うべき『ホータンの廃墟』『セリンディア』『インナーモースト・アジア』、それから戦後の中国で発掘を行ってきた新疆文物考古研究所が刊行していた『新疆文物』掲載の論文や発掘報告書に依拠したので、大谷探検隊による成果そのものを活用したわけではなかったが。
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