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2012年10月 8日 (月)

【映画】「アイアン・スカイ」「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」

 先日、新宿の武蔵野館で観た映画を二本。最初のお目当ては、予告編で気になっていた「アイアン・スカイ」。これがフィンランド映画というのは意外だった。月の裏側(ダークサイド)に「第四帝国」を築いていたナチスが地球に襲来する、という話。まあ、つまらなくはなかったけど、期待していたほどでもなかった。予告編で威勢の良かったナチスの女性士官が指揮官として攻めてくるのかと思っていたら、実際には平和志向であてが外れた。ナチスの妖しい「美学」(制服とか敬礼とか軍隊行進とか)がもうちょっとはじけていたら面白かったのだが、パロディや風刺の要素の方が強くて中途半端な感じもした。風刺というのは、例えば、ちょうどアメリカ大統領選挙の最中で、現職の女性大統領がナチス襲来を目の当たりにして「一期目に戦争をした大統領は必ず再選してるのよ。しかもナチスだなんて、もう最高!あたしったらルーズベルトの気分!」とか。

 二本目はサシャ・バロン・コーエンの「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」。北アフリカ某国の独裁者アラディン将軍が国連総会出席のためニューヨークに来たら、側近の陰謀で替え玉とすり替えられ、本人はニューヨークの街中に放り出されるという設定のパロディ映画。毒がかなりきつい。冒頭、「われらの首領様金正日総書記を偲んで」の字幕で場内大爆笑。

 チャップリンの「独裁者」は独裁者もの映画の古典だが、上記二本ともこれを意識している。「ディクテーター」の終盤、アラディン将軍が替え玉を追い出して民主主義批判の演説をするシーンは、チャップリン「独裁者」でヒンケル総統とすり代わったユダヤ人の床屋が平和を求める演説をするラストの本歌取り。「アイアン・スカイ」では、月面ナチスの女性士官が子供たちにプロパガンダ教育をする際、ヒンケル総統が地球を模した気球と戯れる有名なシーンだけ切り取られた「独裁者」を10分の短編映画として紹介。ところが、ニューヨーク潜伏中に映画館で本物のチャップリン「独裁者」を観たところ、「総統閣下がコケにされてる…」と落ち込むシーンがあった。一緒に観に行った黒人男性は「125分なんてなげーよ、編集が必要だな」と文句を言う。

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