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2012年5月29日 (火)

ポール・ミドラー『だまされて。 涙のメイド・イン・チャイナ』

ポール・ミドラー(サチコ・スミス訳)『だまされて。 涙のメイド・イン・チャイナ』(東洋経済新報社、2012年)

 アメリカのクライアントと中国現地の工場との間で仲介業をしているアメリカ人ビジネス・コンサルタントが出くわしたトラブルの数々。ストーリー仕立て、翻訳もこなれていて面白く読めるノンフィクション。

 ただし、扇情的なタイトルは読者をミスリードしかねない。生活習慣も商習慣も異なるのだから、トンチンカンなトラブルが続出するのも当たり前。むしろ、行動ロジックの相違を如何に読み取るか、そうした具体例として興味深い。「だから中国はダメなんだ」みたいなチャイナ・バッシング的な視点だと、その読み手自身が予め持っている偏見を再確認・増幅させるだけで、建設的な読み方にはならないだろう。

 利益ゼロにもかかわらず委託生産を受注する工場があるらしい。その理由の一つとして、先進国の第一市場を相手にするときは利益ゼロでも委託生産のサンプルを受け取り、発展途上国の第二市場を相手に模造品を売りさばいているという。アメリカでは1ドルで売られている製品が、発展途上国では2~3ドルで売られているというグローバルな経済格差を、こんな形で利用したビジネスモデルが成り立っていることが、良くも悪くも関心を引いた。

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