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2012年5月 8日 (火)

台湾旅行①(5月4日、台北)

 外に出てみると、雨があがったばかりの曇り空。機内アナウンスでは台北は雨天とのことだったが、初日から傘をささねばならない煩わしさを免れたのは精神衛生的に非常によろしい。最高気温は24度ほど。湿気まじりの風が頬を打つと、蒸し暑さの中でも多少の涼気に心地よさを感じる。

 5月4日の9:40過ぎ、ほぼ定刻通りに成田を飛び立ったチャイナエアライン機は現地時間12時半頃、桃園国際空港に到着した。入国手続きをさっさと済ませてバスに乗り、松山空港まで直行した。国内線に乗り換える人のためのバス路線だが、私のお目当ては違う。松山空港近くにあるカフェ。

 松山空港のバスターミナルで下車。他の人たちは空港の中、もしくはMRT駅の方へと歩いていくが、私は地図を見ながら反対方向に向かう。空港のすぐ周りは再開発中の空地が広がっており、殺風景な中を歩いていると「果たしてこっちで良いのだろうか?」と若干の不安も首をもたげてきたが、富錦街に着くと雰囲気が変わった。

 松山空港から富錦街までは10分ほど歩いたろうか。ゆったりとした道路には街路樹が植わっており、その両脇に集合住宅が並んでいる。計画的に整備された住宅街なのだろう。台湾の都市部は人口密集地なので、一戸建てなど滅多に見かけない。車の通りは少なく、閑静な一角だ。1階部分に保育園、英語教室、陶芸のショールーム、雑貨屋、カフェやレストランなどが入居している建物も多い。喩えて言うと台北の代官山といったところだろうか(ただし、私自身は代官山に行ったことはないのだが)。平日の日中だからか、人出はほとんどない。途中の交差点でテレビドラマの撮影をやっていた。

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 朶兒咖啡館(Daughter's Cafe)は富錦街の中にある。先日観たばかりの映画「第三十六個故事」(邦題「台北カフェ・ストーリー」)のロケ用に作られ、映画が出来上がった後にはそのままカフェとして営業しているお店である(写真写真)。

「第三十六個故事」の製作総指揮は侯孝賢、監督は侯孝賢の助監督をしていた蕭雅全、そして主演は桂綸鎂(グイ•ルンメイ)。脱サラした女性(桂綸鎂)がカフェを開く。妹の発案によって店のコンセプトとなった物々交換に桂綸鎂は戸惑うが、これをきっかけに人々が触れ合っていく様子を描いたヒューマン・ドラマであった。映画中では客のスチュワーデスに妹がほら話を語って感動させるシーンがあり、またラストになると桂綸鎂は海外へと旅立つのだが、確かにこのお店は空港から近い。

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 入口は目立たないのでちょっと通り過ぎてしまった。店内に入ると、確かに映画に出てきたあのままのカウンターがすぐ目に入る。あのカウンターで憧れの桂綸鎂が立ち働いていたんだなあ、などと彼女の姿を想像しつつ、壁際の席に着いた。カウンター脇にも椅子は置いてあったが、目の前で店員さんたちが慌しく動き回っているので何となく座りづらそうな雰囲気。なお、店内を見回しても、物々交換のきっかけとなった“ガラクタ”はない。

 奥の中庭まで店舗は広げられ、天日を入れるピロティのような感じの場所でグループが話し合いながらお茶を飲んでいた。私が店に入るとき店先でタバコを吸っていた大学生風の青年が店内に戻ってきて勉強を再開。窓際の席には静かに語らうカップル。私の座った席の隣では女の子二人組みの会話がはずんでいる。店員さんはそろいの黒い上着を着た4人の若い女性たち。こちらも談笑したり、時にはつまみ食いしたりしながら楽しげな仕事ぶり。気分を落ち着けるには良い感じのカフェだと思った。

 ホットのカフェラテとエクレアを注文した(写真)。ケーキは週替わりという映画のコンセプトをそのまま受け継いでいる様子で、私が訪問した金曜日がちょうどエクレアの日だった。「手指泡芙」と言うらしい。隣の女の子二人組みもエクレアを食べてたので、それを指さしながら注文した。エクレアのシューはややかためでチョコクリームがしっかり入っている。食べ応えがあって、なかなかおいしかった。

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 桂綸鎂がいるわけないから残念がっても仕方ないが、帰り際、可愛らしい店員さんが愛想笑いしてくれたので、旅の幸先が良いぞという気持ちで外に出た。

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