台湾旅行②(5月4日、台北→高雄)
(承前)
タクシーを拾って、誠品書店信義旗艦店へ行く。書棚を一通りチェック。いま本を買うと荷物が重くなって移動の邪魔になるので、最終日にまた寄ることにした。私が行ったとき、日本人の団体が来ていた。誠品書店の関係者と思しき人が解説をしていたから、出版・書店関係の人たちだろうか。
市政府駅の地下街に入った。MRTで台北車站に出て、高速鉄道に乗り換え、高雄の玄関口となる左営まで行く。台北発17:30、左営着19:06.所要1時間半強。台湾の鉄道はほぼ時間通りに動く。
夕陽が沈みゆく頃合の風景を車窓からぼんやりと眺めていた。台北から新竹を過ぎるあたりまでは山がちの地区を通るのでトンネルが多い。台中から台南、高雄へと至る一帯は平野が広がっており、田んぼの緑色が鮮やかだ。山間の一本道に見える木製の電信柱、田んぼの中を通るあぜ道などを見ていると、日本の田舎を通過しているかのような不思議な錯覚も覚えるが、ただし椰子や檳榔樹など丈の高い熱帯性の木々が所々で姿を現すたびに、「いや、ここはやはり台湾なんだ」と再確認する。
高鉄は高雄までは通じていないので、手前の左営で乗り換える。MRT(地下鉄)か台湾鉄道の在来線のどちらかを使うことになるが、地上の風景を見たかったので台鉄のホームに出た。
高雄のあたりも雨があがったばかりらしく、あちこちに水溜りが見える。むっとした空気が鼻腔に立ち込めてきた。いかにも夏のにおいだ。高雄では5月の最高気温は普通に30度を超える。周りを見やると、地元の人たちの多くは半袖姿であった。若い女性の短パンからすらりとのびた足のしなやかさが美しい。
高雄駅すぐ裏手の京城大飯店というホテルに投宿。ここはアクセスが便利なので高雄に来る時はいつも利用している。
荷物を置いたら、すぐ外出。MRTに乗って三多商圏駅で下車。ここには太平洋SOGO、新光三越、遠東百貨店などの大型デパートが集まっている。デパート内でエスカレーターに乗って一通り眺めていても、日本のデパートとの違いは分からない。遠東百貨店の17階に誠品書店高雄店があるのでブラブラひやかす。誠品書店は店舗の規模に応じて店内レイアウトが工夫されているので、どの支店に行っても飽きない。
再びMRTに乗って美麗島駅で下車。この駅は高雄を縦横に走るMRTが交差する乗り換え拠点となっている。ちなみに、台北でもそうだが、高雄のMRTでも車内アナウンスは北京語、台湾語、客家語、英語の4言語で行われている。北京語と英語はともかく、台湾語と客家語はさっぱり分からない。とりあえず、美麗島駅到着時のアナウンスで聞き取った発音を順番に記すと、北京語「メイリーダオ」、台湾語「ミーレイドゥー」、客家語「ミーリードッ」、英語「Formosa Boulevard」。
写真は美麗島駅の地下1階ホールにあるステンドグラス。ちなみに、「美麗島」とは台湾の美称である。初めて来航したポルトガル人がこの緑に覆われた島を見て「Illa Formosa」(美しい島)と呼んだのがそのまま島の名前となり、英語名のFormosaもこれに由来する。国民党による言論統制が続いていた時代、民主化を求める人々が発刊した雑誌『美麗島』の主催で行われたデモが弾圧されるという事件が1979年に起こり(美麗島事件)、その現場がこの駅の辺りだったことからこのような名称が付けられた。美麗島事件で逮捕された、もしくは裁判の弁護を行った人々は後に民進党の指導的な政治家となり、逮捕されたうちの一人、陳菊は現在の高雄市長である。今では、けらえいこ『あたしンち』の母親に風貌がそっくりというのがトレードマークになっている。
六合夜市は美麗島駅から地上に出てすぐの所にある(写真)。適当にブラブラ歩きしながら、牛肉麺、魚丸のタレつき串焼き、麻辣臭豆腐をほおばった。細身でスラリとしたオシャレな台湾美人さんがテイクアウトで臭豆腐を買っていく姿が印象的だった。麻辣臭豆腐は、臭いはともかく辛さで口の中が火を噴きそうになったので、甘蔗(サトウキビ)汁で口の中を鎮めることにした。土くさいにおいもするが、素朴な甘さがおいしかった。以上で夕飯おしまい。
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