【映画】「レバノン」
「レバノン」
1982年、イスラエル軍のレバノン侵攻に戦車兵として参加した若い兵士4人の極限状態を描いた映画。ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作品。
第一に、戦車の中という密室での心理劇としてストーリーは進行するのだが、外のシーンの大半は照準器を通して見えるだけ。自分たちを取り囲むものは何なのか? 誰を信用したらいいのか? そもそも自分たちは何を目的としてここにいるのか?…そうした不安や疑問が止め処なくあふれ出てくる兵士たちが戸惑う心情にリアリティーが刻み込まれる。第二に、照準器を通して外を見る映像構成は、同時に侵略する側、殺す側の視点をも表している。戦争の恐怖と悲惨さを描写する独特な視点の取り方が見事だ。
【データ】
監督・脚本:サミュエル・マオス
イスラエル・フランス・ドイツ/2009年/90分
(DVDにて)
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