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2012年3月 4日 (日)

クリスティアン・アングラオ『ナチスの知識人部隊』

クリスティアン・アングラオ(吉田晴美訳)『ナチスの知識人部隊』(河出書房新社、2012年)

 頭脳明晰で教養豊かな若者たちがなぜナチスに積極的に加担したのか?というテーマを追求するため、大学卒業者80人の経歴を分析した研究である。フランス人研究者による著作で、もともとは博士論文のようだ。殺戮行為を正当化した信仰システムの担い手として彼らSS知識人を位置づけ、第一次世界大戦で形成された戦争文化がその信仰システムに影響を与えたことが強調されている。
 思想内容よりも、メカニズムの分析が中心。以下にメモ書きしておくと、
・SS知識人は中産階級出身→第一次世界大戦期に支配的だった表現システムを伝達する主要媒体の一つ→戦争文化が前線から後方へ、富裕層から庶民層へ、大人から子供へと拡散→戦争文化を通して戦争に意味を与え、民間人にも犠牲の正当性を納得させる。
・大学は知的形成の時期であると同時に、政治的社会化の時期でもある。歴史は「正当化の学問」「闘う学問」→学問的厳密さを闘争的欲求へと結びつけ、戦争の正当化、敵のイメージの形成に寄与。
・ナチスは反知性主義?→ナチス独自のコンテクストの中で知的優秀さの規範があり、これに従って彼らは職務遂行。
・「東部出動」という試練→殺戮部隊の指揮を取り、この職務をこなした者には昇進が約束された。

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