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2011年12月19日 (月)

金正日死去の一報を受けて何冊か

 今年は日本も世界も色々なことがあったなあ、と感慨に浸っていた年の瀬、今度は金正日死去の一報。「強盛大国の大門を開く」はずの2012年を目前にして雲隠れ、「公約」延期の口実になるんだろうなあ、と思いつつ、東アジア情勢が不安定な状況に陥りそうな可能性にも思い当たってやや不安な気分にもかられたり。取りあえず、最近読んだ北朝鮮関連本について再掲。

・平井久志『なぜ北朝鮮は孤立するのか──金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書、2010年)、アンドレイ・ランコフ(鳥居英晴訳)『民衆の北朝鮮──知られざる日常生活』(花伝社、2009年)、綾野(富坂聡編訳)『中国が予測する“北朝鮮崩壊の日”』(文春新書、2008年)→こちら
・アンドレイ・ランコフ(下斗米伸夫・石井知章訳)『スターリンから金日成へ──北朝鮮国家の形成 1945~1960年』(法政大学出版局、2011年)→こちら

 金正日という人は単なる世襲のお坊ちゃんではなかった。彼自身が若い頃から身内との権力闘争を勝ち抜いて自らの手で権力を勝ち取り、党や軍をじかに掌握してきたところに独裁体制を維持してきた威信があった。従って、息子に権力を譲り渡したからと言ってスムーズにいく保証は全くなく、次の権力闘争が必ず起こるだろうし、その余波として強硬論者が不測の事態を引き起こす可能性すらある。

 北朝鮮のソフトランディングを進めるにはやはり経済改革が必要であるが、一貫して標榜している先軍体制は民生部門を圧迫している。他方で、この先軍体制によって住民の不満を力ずくで押さえ込んでようやく現在の体制が維持されている以上、制度改革に着手したら押さえ込まれてきた不満が爆発し、そのままなし崩し的に体制崩壊へとつながってしまう可能性に上層部は気付いている。それでもなおかつ体制内部での抵抗を抑えながら変革へとつなげることができるのは、圧倒的な独裁的権限を持つ金正日ただ一人である、と平井氏は指摘していたが、その可能性すら消えてしまったことになる。

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