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2011年6月20日 (月)

アナリー・サクセニアン『最新・経済地理学──グローバル経済と地域の優位性』

アナリー・サクセニアン(酒井泰介訳、星野岳穂・本山康之監訳)『最新・経済地理学──グローバル経済と地域の優位性』(日経BP社、2008年)

・邦訳のタイトルは誤解を招きそうだが、原題はThe New Argonauts、つまりギリシア神話でイアソンと共に黄金の羊毛を求めて大海に漕ぎ出したアルゴ船隊員たちの姿に、ハイリスク・ハイリターンをとる現代のハイテク企業家たちを重ね合わせている。
・アメリカのシリコンバレーは開放的で流動性の高い労働市場→個人のナレッジやノウハウが拡大・浸透しやすい。母国を離れてアメリカのシリコンバレーにやって来て、ここのノウハウを吸収、その上で母国に戻ってノウハウを移植、発展させていく企業家たちの行動形態をイスラエル、台湾、中国、インドを具体例として検証。
・シリコンバレーからの頭脳流出と捉えるのではなく、地域横断的なノウハウや技能の循環によって補完的でダイナミックなネットワークが形成されており、それぞれが発展の恩恵を受けていると指摘、頭脳還流と表現。
・地元と遠隔地のノウハウや専門知識を組み替え続けることが今日のグローバル経済で強い地域となるための条件。産業の専門的分化やサプライチェーンの分散化→適応力が必要。
・シリコンバレーのイスラエル人や台湾人は母国へ戻るインセンティブがあるのに対して、イラン人やベトナム人移民起業家たちは戻らない。また、日本やフランスは大企業・銀行中心の企業構造となっており、アウトサイダー的起業家たちの芽を摘んでしまいやすい。シリコンバレーへと向けて出て行くだけでなく、戻っていくインセンティブがあって技術者や企業家たちの国際的循環が生まれる。国際的に双方向的なコミュニティの形成、国際的企業家たちの横断的ネットワーク。

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