ダグラス・マグレガー『企業の人間的側面』
ダグラス・マグレガー(高橋達男訳)『企業の人間的側面』(新版、産業能率短期大学出版部、1970年)
・有名なY理論はマズローの自己実現に至る段階モデルを応用。マズローは本書を読んで自身の心理学的議論が経営論に応用できることを知り、自ら経営論に関心を寄せ始めるきっかけになったらしい。
・統制とは、相手の人間性を自分の望みに合わせることではなく、自分のほうが相手の人間性に合わせたやりかたをすることだと認識してはじめて、統制力が向上する。経営者と従業員との相互依存関係の理解が組織理論では重要。
・X理論:権限による命令統制→従業員のやる気はおきない。温情主義も表面的。一般に人間は怠け者であり、強制・統制・命令がなければ動かない、大衆は凡庸だという人間観。
・Y理論:従業員個々人の目標と企業目標との統合。人間は本来的に仕事をしたい、強制ではなく自ら進んで委ねた目標には責任を持って努力するという人間観。現代企業において従業員の知的能力は一部しか活用されていない→その人間の持つ能力を引き出すのが経営者の手腕。
・参加→部下の潜在能力を信頼し、従業員が決定に影響力を持てる機会と条件をつくる。社内関係の特質、つまり会社の目標を納得させ、自ら進んで工夫を凝らす、自己統制の機会を与えるような環境の整備。
・リーダーシップ:リーダー、部下、会社、社会環境の関係の組み合わせとして捉える。
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