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2011年5月 4日 (水)

【映画】「戦火のナージャ」

「戦火のナージャ」

 スターリンから呼び出されて出頭したKGBのドミートリ・アーセンティエフ大佐、自ら逮捕して銃殺刑に処されたはずのコトフ大佐が実はまだ生きていると聞かされ、彼の行方を捜すよう命じられた。かつてコトフの美しい妻をめぐって嫉妬の火花を散らしたドミートリは、スターリンによる大粛清を名分として陥れた彼の娘ナージャを自ら育てていた。時あたかもドイツ軍が侵攻中であり、従軍看護婦となったナージャは戦争の凄惨な有様を目の当たりにしてショックを受けている。激しい戦火の中、交錯する三人の運命。

 ミハルコフ監督の評判が高い「太陽に灼かれて」の続編ということらしいが、私はまだ前作を観ていない。今作は三人の人間ドラマというよりも、むしろ背景をなす独ソ戦を描き出すことに重きが置かれた戦争映画となっている。実際、ミハルコフ監督はスピルバーグ監督「プライベート・ライアン」を観たときにこの映画のアイデアが浮かんだと語っている。しかし、どうなんだろう、「プライベート・ライアン」の場合、ノルマンディー上陸作戦の進行を延々とリアルに描き続けることによって、善悪是非とは違う位相から戦争の問題を観客へと投げ出していくという方法をとった(もちろん、リアルに描く=中立性を装いながらも、その背景に西側的歴史観を暗黙のうちに刷り込ませて観客に押し付ける、という逆説的な考え方も可能だが)。「戦火のナージャ」の場合、観客に向けて解釈を意図して誘導するようなつまらない小芝居的エピソードが鼻について、戦場をリアルに描いたという印象は感じられない。映画としてはいまいちだった。

【データ】
監督・脚本・主演・製作:ニキータ・ミハルコフ
2010年/ロシア/150分
(2011年4月29日、新宿・武蔵野館にて)

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