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2011年3月 5日 (土)

【映画】「英国王のスピーチ」

「英国王のスピーチ」

 ラジオの普及は王室のあり方をも変えてしまった。父王ジョージ5世は言う、「王が甲冑を身に着けて馬にまたがっておればいい時代はもう終わった、これからは国民の心をつかむよう直接語りかけねばならない」。ところが吃音症に悩む次男アルバートにとって、公衆の面前でスピーチするなんてもってのほか。わらをもすがる思いで訪ねた言語聴覚士のローグは診療の条件として対等な立場を要求。問題は心因性のものだと見抜いたローグはアルバートから本音を引き出すため次々と挑発、最初は反発していた彼も徐々に心を開き、やがて友情すら芽生えていく。

 王位は兄が継ぐものと安心していたら、離婚歴のあるアメリカ人女性シンプソン夫人との結婚を決意した兄王エドワード8世は退位を決意、アルバートはジョージ6世として即位せざるを得なくなってしまった。たまたま目にしたニュース映画で、国民を熱狂させている男を見て王はポツリとつぶやく、「何を言っているのか分からないけど、演説はうまいな…」。その男、アドルフ・ヒトラーが巻き起こした戦争に直面して、王は国民を奮い立たせるべく宣戦のスピーチをしなければならない──。

 大衆社会化状況において揺らぐ王室の役割、最高権威者として心を開ける友人のいない王の孤独、こうしたテーマを背景としたヒューマン・ドラマ。会話にはウィットが富んでいるし、テンポもいい。なかなかよく出来ていて面白い映画だ。

【データ】
原題:The King’s Speech
監督:トム・フーパー
出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム=カーター、ほか
イギリス・オーストラリア/2010年/118分
(2011年3月4日レイトショー、新宿・武蔵野館にて)

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