山形孝夫『レバノンの白い山──古代地中海の神々』
山形孝夫『レバノンの白い山──古代地中海の神々』(未来社、1976年)
古代地中海・ヘレニズム世界に登場したキリスト教、その背景をなす古代以来の「異教」的世界の痕跡を聖書説話の中に見出しながらキリスト教成立の背景を探る論考。福音書にはイエスが人々の病気を治すエピソードが多く見られる。当時、エシュムン神、アスクレピオスなどの治癒神信仰がヘレニズム世界に広まっており、これらの信仰を駆逐しながらキリスト教は拡大・浸透、その競合過程を通して治癒神、再生の神としてのイメージがイエス像にも反映されたのではないかという。著者の名著『聖書の起源』(講談社現代新書、1976年/ちくま学芸文庫、2010年)で示された議論の1つである。
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