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2011年2月12日 (土)

【映画】「再会の食卓」

「再会の食卓」

 1949年に国民党軍兵士として台湾へと退却した夫から上海の元妻のもとへ届いた一通の手紙。台湾政府の方針転換により大陸訪問が可能となり、帰郷訪問団の一員として上海へ行くので是非会いたいという。困惑した表情の家族。やって来た元夫は妻を台湾へつれて帰りたいと言い出す。歴史の傷痕がいまだに残る家族に巻き起こった一波瀾をユーモラスな味わいで描き出す。

 二人とも別れ別れとなった後、台湾、上海それぞれで新しい家族を築いていた。元妻の現在の夫である陸は善意の人間で、彼女の幸せのためならばと同意するのだが、文化大革命の苦難を一緒に生き抜いたことはやはり忘れがたい。長年苦難を共にした現在の夫よりも、一年ちょっとの青春期だけしか思い出のない元夫についていきたいという彼女の心境は少々不可解な感じもする。だが、これまでのつらい日々をリセットして、別の人生もあり得たかもしれないという夢のようなものにすがりたい気持ちをずっと抱えていたということなのだろう。老人たちの一風変わった三角関係も、結論としては落ち着くところに落ち着く。やはり積み重ねられた時間の重みを崩すことはできない。

 映画の随所で上海の街並が大きく変貌しつつあることが描き出される。その中で家族のあり方も変わりつつあることがほのめかされていることの方に描写の重きが置かれているような印象を受けた。中台関係に関わる設定のストーリーなので観る前は少々身構えていたのだが、むしろ家族・夫婦にとっての時間の重みがテーマである。ユーモアとときにペーソスの交えられた描き方なので引き込まれる。とくに食事のもてなしで三人三様に気遣い合う姿はなかなか感慨深い。

【データ】
原題:團圓
監督:王全安(ワン・チュエンアン)
2010年/中国/96分
(2011年2月11日、渋谷文化村ル・シネマにて)

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受信: 2011年3月10日 (木) 12時53分

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