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2011年2月20日 (日)

【展覧会】国立新美術館「シュルレアリスム展」

国立新美術館「シュルレアリスム展」

 パリのポンピドゥー・センター所蔵のシュルレアリスム関連作品を展示。のっけから否定的な言い方になってしまうが、シュルレアリスムというのは、当時の芸術家たちが思索したり活動したり作品をつくったりする試行錯誤のプロセス、その時の精神状態そのものにあるのであって、後世の美術館に残っている作品はそうした活動から排泄されたカスに過ぎない。カスをわざわざ美術館の中に整然と並べてかしこまって拝観するという光景そのものが実にシュールなことであるのだが、そんなことを言い始めたらキリがないから、各自が見たいように素直に見ればそれでいいのだと思う。

 文学史的・思想史的に彼ら芸術家たちの活動に関心があるなら、当時の雰囲気をうかがい知る資料として興味深いだろう。そうでない人はシュルレアリスムという脈絡はいったん忘れて、奇抜なイメージを面白がったり、時に美を感じたりすることがあれば、そうした自分自身の中に芽生えた感覚を素直に出していけばいい。難しく考えちゃダメだ。作者たちの内的意味など無視しても、とにかく自分なりの見方をすれば実は結構面白いのだ。たまさかの出会いをきっかけに自身の心中に偶然に沸き起こった感興、それを大切にするのがシュルレアリスムである。

 私はマグリット、デルヴォーなどベルギー・シュルレアリスムやキリコ、ダリなどの絵画的イメージそのものがファンタジックで好きだ。ミロも抽象画などと考えず、一つのデザインとして見れば面白い。いくつか映像作品も上映されていて、ブニュエルとダリがつくった「アンダルシアの犬」、断片的に写真で見たことはあったが映像で通して観たのは初めてだった。眼球を切り裂くグロテスクなシーン、モンタージュ、脈絡を無視した場面転換など今では技法的に当たり前となっているが、当時としては革命的にショッキングだったのだろう。
(2011年5月9日まで)

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