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2011年2月22日 (火)

藤森照信『天下無双の建築学入門』『建築史的モンダイ』『人類と建築の歴史』

 藤森照信『天下無双の建築学入門』(ちくま新書、2001年)、『建築史的モンダイ』(ちくま新書、2008年)は雑誌連載の建築史エッセイをまとめて入門書的に仕立て上げられている。軽妙な語り口が読みやすいというだけでない。建築の起源から日本の建築の特徴、和洋の相違、住宅建築の特徴など建築史にまつわる様々なテーマについて該博な知見を噛み砕いてさり気なく散りばめていき、内容的にもかなり高度なレベルを持っている。時に奔放に空想をふくらませていくところは脳裡に情景をありありと浮かべさせ、面白くて立て続けに読み進めてしまった。藤森さんはやっぱりすごいなあ。

 エピソードを紹介し始めたらきりがないが、私が興味を持った論点を一つあげると、明治初期、和洋併置のお屋敷が建てられたのはなぜか? 西洋風と自国風とを共存させた建築というのは実は世界的にも珍しいらしい。西洋の建築史ではゴシック様式、ロマネスク様式といった感じに時代区分と建築様式とを結び付けてスタイルの変遷を叙述することができるが、日本では一度成立したスタイルがそのままずっと生き残ったため時代区分による叙述が難しいのだという。例えば、神社建築や茶室など、時代よりもむしろ用途に応じてスタイルが使い分けられていた。従って、明治になって和洋併置の邸宅が建てられたのも、プライベートでは使い慣れた和風、来客等パブリックな場面では洋風という形で使い分けを意識していたからではないかと指摘される。

 『人類と建築の歴史』(ちくまプリマー新書、2005年)は初学者向けに建築の起源から説き起こした建築史概説で考古学的話題が大半を占める。上掲の二冊で紹介されたエピソードを通史的にまとめ直した感じで、合わせて読めば頭の整理にうってつけだ。

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