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2011年2月19日 (土)

【映画】「ポンヌフの恋人」

「ポンヌフの恋人」

 パリ市内の川にかかる橋、ポンヌフは改修工事中。ここで寝泊りしていたホームレスのアレックスが事故で怪我して収容された警察から帰ってきたら、自分の寝床には見知らぬ者がいた。失明寸前で家出した絵描きの女性ミシェル。アレックスは彼女が自分を描いた絵に興味を持ち、徐々に愛する気持ちが芽生えていくのだが…。

 失明の恐怖から絵描きとしての将来を悲観しているミシェル、ホームレスとしてまともな愛情を得ることのかなわないアレックス、境遇の異なる二人がそれぞれに先の見えない絶望感の中で出会った純愛物語と言えるだろうか。私が興味を持ったのは、この二人の目線を通すと華麗な印象の強いこのパリという都市がまた違った相貌で浮かび上がってくること。夜空に花火が激しく打ち鳴らされる中、橋の上で狂ったように踊りまくるミシェル。地下鉄構内のポスターに火をつけて回るアレックス。悲観と絶望をかき消そうとするかのようにこの一瞬をパセティックに燃え上がらせようとする姿、それが街並と呼応したときの独特な光景が実に美しく、印象に強い。

 なお、外国人監督に東京を撮らせようという趣旨のオムニバス映画「TOKYO!」でレオス・カラックス監督が「メルド」という短編を撮っており、観たことがあった。おそらく、この「ポンヌフの恋人」でパリを異界のように描いたところが関心を持たれてのオファーだったのだろう。東京に現れた怪人(アレックス役のドニ・ラヴァンが演じていた)が手榴弾を投げまくって街を破壊するという筋立てだが、最後の文明批判的な裁判シーンが何だかいけてなくて、こちらの方はつまらなかった覚えがある。

【データ】
原題:Les Amants du Pont-Neuf
監督・脚本:レオス・カラックス
出演:ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュ
1991年/フランス/125分
(2011年2月18日、新宿・武蔵野館レイトショーにて)

 

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