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2011年2月20日 (日)

「NHKスペシャル」取材班『アフリカ──資本主義最後のフロンティア』

「NHKスペシャル」取材班『アフリカ──資本主義最後のフロンティア』(新潮新書、2011年)

 アフリカ経済をめぐる書籍が日本の書店でもよく見かけるようになったのはここ四、五年くらいのことであろうか。経済開発の非対称性をどのように考えるかという問題意識からジェフリー・サックス、ウィリアム・イースタリー、ポール・コリアーなどの訳書がまず目につき、中国のアフリカ進出を新たな資源搾取と捉えるものもセンセーショナルなタイトルで見かけた。日本から最も縁遠い地域であるがゆえに情報量が限られており、隔靴掻痒の感もあったが、そうした中で昨年NHKスペシャルで放映された「アフリカン・ドリーム」シリーズは興味を持って欠かさず見ていた。

 民族対立、資源流出、貧富の格差の拡大、様々な問題がある。本書でも触れられるが、凄絶な民族虐殺の瓦礫の山から再起しつつあるルワンダでは、帰国したディアスポラが海外で身に付けた能力を生かして経済復興が進められる一方(ポール・カガメ大統領は「CEO大統領」「ルワンダのリー・クアンユー」と呼ばれているらしい)、首都キガリ中心の発展から取り残された人々には不満が鬱積、情勢不安はいまだに消えてはいない。いびつな独裁体制で財政破綻したジンバブエから隣国南アフリカへと逃れた人々は安い労働力として南アフリカの経済成長に使われているという複雑さも難しい問題である。

 しかしながら、本書が焦点を合わせようとするのは、そうした様々な困難の中でも経済復興、国家再建に向けた主体的な取り組みである。ルワンダではコーヒー農園・工場の設立によってツチ族・フツ族の対立も和解させようとする試みが紹介される。携帯電話を駆使するマサイ族のエピソードはIT技術による様々な可能性をうかがわせる。エチオピアの通信ネットワーク網やザンビアの資源開発などで進出する中国企業も、中国によるアフリカ搾取というコンテクストで語られがちだが、これによってインフラ整備が進められているというプラス面にも目を向けるべきなのだろう。ダイヤモンドの大企業デビアスと粘り強く交渉して財政基盤を整え、政情も安定したボツワナについてはもっと詳しく知りたいところだ。

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