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2010年12月27日 (月)

彭明敏・黄昭堂『台湾の法的地位』

彭明敏・黄昭堂『台湾の法的地位』(東京大学出版会、1976年)

・台湾にはもともと原住民の複数の政治単位があったが、西欧起源の近代国際法の論理に基づくと、明確な国家組織なし→「無主地」→「先占」の論理によって領有可能となる。
・鄭氏政権は台湾における事実上の独立国家→清が併合→1885年に福建台湾省→1895年に日本へ割譲、この間隙を縫って台湾民主国が独立宣言→短期間かつ実効性に問題はあっても法的には日本から、事実上は清国から独立を宣言したとみなせる。
・先占:国家による宣言、実効的な占有により無主の地を他の国家に先駆けて支配する→史書に名前が言及されていることとは次元が異なる。
・澎湖諸島は元が先占、台南一帯はオランダが先占、基隆・淡水一帯はスペインが先占。従って、先占によってそれぞれにとっての「固有の領土」。
・南明の滅亡後、従って国家主体ではあり得ない武装集団としての鄭成功や台湾住民がオランダ政庁を打倒→澎湖諸島と台湾島は建国時の原始領土。また、台湾民主国は台湾島が固有の領土→清、日本にとっての固有の領土ではない。
・領土の承継はどのように?→合法的な移譲。滅亡した国家→領有関係消滅。元→明→清→中華民国→中華人民共和国という承継は成り立つのか?→「中国」の連続性の主張は清末ナショナリズムの所産にすぎない。
・中華民国成立時に清の対外条約の承認を宣言→清の承継国家となる→しかし、この時点で台湾はすでに日本へ割譲されていたのだから、台湾は中華民国にとっての承継の対象にはならない。
・カイロ宣言を転機として台湾の中華民国への返還という流れが出てきた。台湾の帰属問題は、台湾処分の妥当性ではなく、当時における各国の利害関係に従って左右された。
・日清講和条約廃棄→無効、もしくは日清戦争は響伯→無効という議論:日清戦争自体は「いわば帝国主義候補国である日清両国が帝国主義への転質か従属国への転落かをかけて」戦った→朝鮮に対しては侵略であったが、清に対する脅迫→原状回復の論理は成立しない。
・日本はサンフランシスコ平和条約で台湾を放棄したことを再確認できるだけ→すでに権限を放棄しているのだから、改めて中華民国もしくは中華人民共和国へ割譲することはできない。
・国際法的には台湾の帰属先未定→台湾は「無主地」。国際法は強国の「力の論理」による自己正当化として作用、対象とされた地域の住民の意思は無視された。国際間の利害関係が錯綜しており、当時は決定を先送り→「人民自決の原則」が台湾に適用されなかったという事実がある→法的帰属を確定するために人民投票の形式を要する。

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