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2010年12月 5日 (日)

山岸俊男、メアリー・C・ブリントン『リスクに背を向ける日本人』

山岸俊男、メアリー・C・ブリントン『リスクに背を向ける日本人』(講談社現代新書、2010年)

・社会心理学の山岸俊男と、ハーバード大学社会学部長で日本社会研究を専門とするメアリー・C・ブリントンの対談により、社会学的見地からリスク回避傾向のある現代日本社会を読み解く。当然ながら、比較の対象としてアメリカが引き合いに出されるが、あくまでも日本社会の問題点を浮き彫りにするためであって、「アメリカはこうなのに、日本はダメ」的な精神論として読んで欲しくないというメッセージが強調されている。

・個人主義的で流動性の高いアメリカの方が日本よりもリスクが大きい、と一般的には考えられやすい。ところが、アメリカは流動性が高い分、セカンドチャンス、サードチャンスが普通にある。対して日本では、一定の身分に就くことさえできれば安定性があるものの、それを失ったらセカンドチャンスは乏しい。従って、逆説的だが、ワンチャンスしかない日本の方が実はリスクがはるかに大きく、それが日本人のリスク回避傾向として現れていると指摘される。セカンドチャンスへの支援が社会構造に組み込まれていないにもかかわらず、終身雇用の終焉、非正規雇用の拡大といった形で労働市場の効率化が進められている矛盾に一つの問題点が見出される。

・ストロングタイズ(身内同士のつながり)では均質的な情報しか得られないのに対して、ウィークタイズ(ゆるやかな人間関係)の方が情報の幅は広く、様々な可能性があるので重要(経営学の組織論でよく指摘される論点だ)。

・欧米ではコミュニティーや職場でアフェクション(情愛関係)を得るのが難しくなっているので家族の重要性が意識されている→意外と出生率が高い。

・集団主義的秩序(司法制度未確立の状態→仲間うちの信頼関係を基盤にするため、背いた者への村八分、身びいきが倫理的)と法制に基づく普遍的秩序の相違。

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