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2010年12月21日 (火)

劉進慶『戦後台湾経済分析──1945年から1965年まで』

劉進慶『戦後台湾経済分析──1945年から1965年まで』(東京大学出版会、1975年)

・半封建的社会における階級矛盾として戦後台湾の経済関係を分析。国家資本と民間資本との二重構造、対米日資本従属構造を指摘するのが全体的な論点となる。理論枠組みにはマルクス主義色が強い。
・戦後、日本資産の接収→膨大な国家資本形成(すなわち、植民地遺制と国民党権力の結合)による公営経済が戦後台湾経済の起点となる→経済再建の主役であると同時に、巨額な軍事財政の収入源、官僚階級の蓄財手段ともなった。
・戦後直後、大陸の経済的混乱が台湾まで波及しないよう台幣と法幣とを分離、しかし政策的失敗、大陸からの為替投機・資金逃避→インフレが加速的に進行。インフレと米穀徴発によって農民は窮乏化。
・内外情勢の不安に押される形で、農民との階級対立を回避するため国民党は農地改革→“流亡政権”で土着地主と利害関係が共有されていないため断行できた。ただし、国民党政権と地主は妥協的関係→公営企業の一部を債権化により払い下げ。
・国家資本と民間資本との二重構造。蒋介石一族の伝統的家父長制的専制主義と捉え、公業が主導、民業は従属という関係を指摘。また、米穀経済→地主的国民党権力が自作零細農を支配する構造として捉える。
・中央と台湾省との二重財政→後者の大半は中央に吸い上げ。
・政権の軍事的性格→歳出の大部分は国防統治費。
・特権階級の利益を阻むような直接税制よりも、逆進性の高い関節税制を強化→大衆収奪の装置として作用。
・アメリカ帝国主義の二重介入→私業は、公業に対して寄生従属、外国資本に対して買弁従属。
・調整期(1950~53年):国共内戦で大陸紡績資本が大挙して台湾へ流入、これが民営企業の主導部門となり、政権は保護政策→資本蓄積。
・相対的安定期(1954~59年):土着資本が公権力をバックに成長。
・発展期(1960~65年):外資導入→アメリカ資本は低賃金労働を利用した輸出市場指向。日本資本は台湾市場指向。華僑は人的つながりを通して流入、政商的。
・低賃金労働の構造を分析。

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