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2010年11月14日 (日)

森川嘉一郎『趣都の誕生──萌える都市アキハバラ 増補版』

森川嘉一郎『趣都の誕生──萌える都市アキハバラ 増補版』(幻冬舎文庫、2008年)

 アキバを舞台にしたオタク文化史かという軽い気持ちで本書を手に取ったのだが、実は都市文化論として充実した内容を持っており興味深い。著者は建築畑の人で、オタクの心性分析から現代日本社会の一側面への考察を横軸としながら、同時に都市や建築をめぐる問題意識が縦軸に据えられ、二つの軸が交わる位相に秋葉原という都市が持つ意味合いが析出される。

 科学技術の進歩という〈未来〉志向の幻想が喪失したことによってアニメやゲームの世界に退行していった少年たち=オタク、家電製品のシェアが郊外型大規模店によって奪われて変化を余儀なくされていた秋葉原電気街、双方のマッチングから趣都アキバは生まれた。1960年代の高度成長期、国家や大資本主導で海外の有名建築家作品のエピゴーネンとして展開された高層建築を第一フェーズ、1980年代のバブル期、ライフスタイルそのものをコンテンツとして主に女性を市場開拓の対象に想定したマーケティング戦略によって舞台装置として設定された都市空間を第二フェーズとするなら、「趣味」という「個」のロジックに基づいて生成したアキバが第三フェーズであると位置づけた見取り図が示される。「趣味が、都市を変える力を持ち始めた」という命題のもとオタク文化の分析が進められている。

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