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2010年10月 2日 (土)

【映画】「蛇のひと」

「蛇のひと」

 部長(國村隼)が自殺して会社が大騒ぎしている中、課長の今西(西島秀俊)の姿も見えない。会社上層部は今西が横領して逃げたと疑っている。部下の三辺(永作博美)は彼の行方を捜すよう命じられ、今西の知人を訪ねまわって話を聞いているうちに、みんな彼の人柄の良さをほめるのだが、どこか釈然としないものも感じていることに気づく。結局、今西への疑いは晴れた。しかし、上司としてよく知っているように思っていた彼の人物像はかえって分からなくなってきた。三辺は今西の実家のあった大阪まで行き、彼の過去を知る。

 きっかけは事件の謎解きだが、それが今西という人物が抱えているものは何なのかという人間性そのものへの探求へと結び付くという形のサスペンス・ドラマ。メッセージの送り手と受け手の共振関係によって受け手側の心中に生ずる感情的な何かがカギとなる。心理ドラマは脚本が下手だと、こういう過去の問題があったからこういう事件につながったという安易な因果関係に短絡化されてしまいかねない。しかし、この作品の場合、例えばラストのエピソードを見ると、影響を受けた側自身の能動的なモチベーションのあり方によって結果も変わり得ることがほのめかされる。脚本はWOWOWシナリオ大賞の受賞作らしいが、物語展開のテンポといい、エピソードの重ね方といい、よく出来ていると思う。短期間単館上映ではもったいないくらいだ。

 大阪弁でノリは軽く人当たりは良いが、表面に見える笑顔とは裏腹に本心では何を考えているのか分からないという今西のパーソナリティー、そうした役柄はどす黒さを感じさせる人だといかにもありがちな悪人になってしまうが、西島秀俊のどこか透明感の漂うオーラを通すとミステリアスでうまくはまっている。永作博美の年季の入った童顔も好き。

【データ】
監督:森淳一
脚本:三好晶子
出演:永作博美、西島秀俊、國村隼、石野真子、ふせえり、勝村政信、劇団ひとり、板尾創路、河原崎健三、他
2010年/102分
(2010年10月1日レイトショー、角川シネマ新宿にて)

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