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2010年10月 5日 (火)

【映画】「夏至」

「夏至」

 ハノイでカフェを営む一家。母の命日にみんな集まってきた。食事の支度をしながらふざけ合う三人姉妹。それぞれに秘密や葛藤を抱えているが、笑い声には屈託がない。兄妹の関係、夫婦の猜疑心、愛人の存在、それぞれに抱える微妙な感情的機微の浮かぶ表情を静かにこまやかに写し撮っていく。人物の表情や仕草を捉えるカメラのやわらかな目線、そして街を彩るみずみずしい緑をはじめ色彩感覚豊かな映像の美しさが実に素晴らしい。観ていると、この穏やかな空気感の中でまどろみたい気分になってくる。

 トラン・アン・ユン監督作品では、むかし学生のとき池袋の旧文芸座で「青いパパイヤの香り」(たしかイム・グォンテク監督「西便制 風の丘を越えて」と二本立てだった)を観た覚えがある。ベトナム版「マイ・フェア・レディ」という感じだった。次回作は村上春樹原作「ノルウェーの森」らしい。こういう映像の撮り方をする人なら村上作品の雰囲気にもうまく馴染みそうで期待がふくらむ。

【データ】
監督:トラン・アン・ユン
撮影監督:李屏賓
2000年/112分/ベトナム・フランス
(DVDにて)

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