【展覧会】「フランダースの光──ベルギーの美しき村を描いて」
「フランダースの光──ベルギーの美しき村を描いて」
1900年頃からベルギーのレイエ川沿いにある村ラーテムに住んだ芸術家たちの作品を展示。それぞれに独自の作風を持ち画派として一括りにできるわけではないが、主に象徴主義の第一世代、印象主義の第二世代、第一次世界大戦を挟んで疎開先から戻ってきた第三世代に分けられている。
目玉となるのは印象派的なタッチで村の風景と人々の姿を描いたエミール・クラウス。この展覧会のポスターになっている「刈草干し」も彼の作品だ。光が強調された描き方で、農村の穏やかな明るさが浮かび上がる。風のそよぎと空気のゆるやかな揺れ、鳥のさえずりなども聞こえてきそうな感じで、気分がほっとするような美しさだ。第一世代のヴァレリウス・ド・サートレールという人の絵もひかれた。こちらはむしろ暗い感じ。黄昏の光景を地平線の見える広がりの中で描いている。緊張感のある静寂。もし感傷的に敏感な気分だったらシンクロしてこのまま取り込まれてしまいそうだ。
第三世代は疎開先で触れたドイツ表現主義、シュルレアリスム、キュビズムなどの影響の顕著に見られる作品が多い。穏やかな風景画や人物画に慣れた目でいきなり見ると、何か「あっちの世界に行っちゃったのか…」という妙な気分。別に悪いというわけではないが、なにぶん「フランダースの光──ベルギーの美しき村を描いて」というタイトルの展覧会のつもりで見に来ているので、「あっち」の方を見る心構えができていなかったというか…。
(2010年10月11日、渋谷、Bunkamuraザ・ミュージアムにて)
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