【映画】「シリアの花嫁」
「シリアの花嫁」
イスラエル軍占領下のゴラン高原。ドゥルーズ派のある一家は慌しい一日を迎えている。末娘の婚礼の日だが、花婿は軍事境界線の向こう側のシリアにいて、嫁入りはすなわち実家にはもはや戻れないことを意味した。婚礼当日はちょうどハフェズ・アル・アサドの死を受けて息子のバーシャール・アサドが大統領に就任する日で、イスラエル警察は親シリア派の動向に神経を尖らせている。一家の父親は親シリア派の政治活動をして逮捕歴があった。本来ならばめでたい日なのに、ぎくしゃくした家族の関係があらわになり、さらには国境越えのトラブル。赤十字の女性職員は手続き上の問題でイスラエル側、シリア側双方の間を右往左往。
父と息子の葛藤、自立を求める妻とそれに我慢ならない夫。お互いの頑なさが心の壁を作り上げてしまっているわけだが、いずれ和解へと向かう。こうした家族のいざこざを描きつつ、そこには同時に国境なるものも人為的なイマジナリーなものにすぎないという意図も重ねて込められているのだろう。そのあたりが観ながら自然に受け止められて、なかなかよくできた映画だと思った。
【データ】
監督:エラン・リクリス
2004年/イスラエル・フランス・ドイツ/97分
(DVDにて)
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