【映画】「ローズ・イン・タイドランド」
「ローズ・イン・タイドランド」
いつも人形相手に「会話」している夢見がちな少女ローズ。母が死に、父に連れられてきた廃屋には、会ったことのない祖母がかつて住んでいたらしい。そこで出会った近所の不気味な兄妹。頭がおかしくなってしまった大人たちの中で、孤独なローズの心象風景がファンタジックな映像で描かれる。現実の耐え難い生きづらさに打ちひしがれて常軌を逸してしまった大人たち。ローズの両親はドラッグのやりすぎで死ぬ。近所の魔女のようなおばさんは、自分の母親の死を受け容れることができず死蝋作りに一生懸命。ロボトミー手術を受けた純真なその弟とは仲良くなる。現実を拒絶した大人たちに対し、ローズのたくましさはこのみじめな現実をファンタジーによって読み替えているところにあると言えるだろう。ファンタジーは単に現実逃避のおとぎ話というのではなく、現実のみじめさ、つらさを読み替え、意味づけすることで、まさにそのいやな現実を生き抜く力ともなり得る。例えば、ギレルモ・デル・トロ監督「パンズ・ラビリンス」やガボア・クスポ監督「テラビシアにかける橋」を観たときにもそうした印象を抱いた覚えがあった。テリー・ギリアムのつくる映像は面白くて、独特なカメラ・アングルなど好きだ。ローズ役のジョデル・フェルランドはこの映画当時はまだ十歳前後の子役だが、表情豊かな演技力が素晴らしい。
【データ】
監督:テリー・ギリアム
2005年/カナダ・アメリカ/117分
(DVDにて)
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