【映画】「乱暴と待機」
「乱暴と待機」
人に嫌われるのを極度に恐れる奈々瀬(美波)は、「お前にいつか復讐してやる、ものすごい復讐が思いつくまで待ってろ」と言う山根(浅野忠信)を嬉しそうに「お兄ちゃん」と呼んでいる。ウジウジ、オドオドの受身の態度が、実は男を翻弄する武器。復讐待望で結び付いた二人の倒錯した関係に巻き込まれた夫婦(小池栄子、山田孝之)。
本谷有希子の原作(メディアファクトリー、2008年)は読んだことがあり、毒気の強いナンセンス密室劇という印象があった。この映画も基本的にはこうした路線ではあるが、郊外のぼろい長屋風の家並み、時折挿入される夕暮れの風景などはどこか寂しげな感じを与える。意図的な演出なのか。この微妙なペーソスのために変態的でブラックなテイストが弱まって、かえってすっきりしない後味の悪さが残ってしまった気がする。
【データ】
監督・脚本:冨樫昌敬
2010年/97分
(2010年10月16日、テアトル新宿にて)
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