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2010年9月13日 (月)

適当に小説

この土日はストレス発散のため小説をとにかく濫読していた。

海堂尊『チーム・バチスタの栄光』(上下、宝島社文庫、2007年)。医療現場を舞台にしたミステリー。内部監査というテーマが軸ではあるが、そういう重さは感じさせず、登場人物それぞれのキャラクターが際立っているので、やりとりそのもので読者をグイグイとストーリーの中へと引っ張り込んでいく。テンポがいいし、面白い。このシリーズは読み始めたらはまりそうだ。

奥田英朗『サウスバウンド』(角川書店、2005年)。揉め事ばかり起こしている元過激派のオヤジが家族を連れて沖縄の離島へ移住、今度はリゾート開発業者とぶつかる。最初、このオヤジの時代錯誤な論理には?な感じだったが、これは戯画化されているんだなと思い至って読み進めると意外と憎めなくなってくる。面白い。

荻原浩『あの日にドライブ』(光文社、2005年)。銀行をリストラされた主人公がタクシーの運転手をしながら思い出の場所を回り、自分の人生をみつめなおすという話。40~50代のサラリーマンに受けそうな感じ。

朱川湊人『本日、サービスデー』(光文社、2009年)。何でも願いがかなう日、片手だけ見える地縛霊など微妙にファンタジックな設定の中編・短編小説集。朱川湊人はストーリーテリングがうまいからなかなか読ませる。『かたみ歌』(新潮文庫)とか好きだな。

北村薫『街の灯』(文春文庫、2006年)、『玻璃の天』(文春文庫、2009年)。舞台は昭和初期、華族のお嬢様とお抱え運転手のスーパーウーマン、ベッキーさんこと別宮さんのコンビが謎解きするシリーズ。三作目の『鷺と雪』(文藝春秋、2009年)は二・二六事件を背景にしており、すでに読んだ。文学的な薀蓄や当時の社会風俗をさり気なく織り込んでいく筆致が良い感じ。北村さんの作品はむかし好きでよく読んでいた。特に円紫師匠と女子大生のコンビのシリーズは、殺人など物騒な出来事はないのに純粋に謎解きだけであれだけ面白く書けていることに驚いた。

三浦しおん『まほろ駅前多田便利軒』(文春文庫、2009年)。便利屋稼業の主人公と、その家に転がり込んできた居候、ワケありな人たちのドタバタを描いた連作小説集。なかなか悪くないと思う。

小路幸也『東京バンドワゴン』(集英社、2006年)。個性的な家族でやっている古本屋が舞台、そこに集まる人々の悲喜劇。のほほんとした雰囲気が好きだな。

中村文則『土の中の子供』(新潮社、2005年)。芥川賞受賞作か。純文学なんてもうオナニーの世界だな。気分が合わなくて入り込めず。とくにコメントなし。

桜庭一樹『私の男』(文藝春秋、2007年)。これは直木賞受賞作。ストーリー的には面白そうだけど、アブノーマルな設定の割には後ろ暗さとか淫靡さとか、そういった感じがいまいち伝わってこなくてもの足りなかった。

西加奈子『さくら』(小学館、2005年)。今風に少年の成長譚を書いたつもりか? ちんけであまい。

乾くるみ『イニシエーション・ラブ』(文春文庫、2007年)。なんかグダグダした恋愛小説だな。1980年代後半という時代背景に興味ない私にとって面白くはない。

綿矢りさ『勝手にふるえてろ』(文藝春秋、2010年)。かったるい。

お口直しに、小川洋子『夜明けの縁をさ迷う人々』(角川文庫、2010年)。九編の連作短編集。抽象的で明らかに空想の設定だけど、個々の描写からなぜか強烈なリアリティーを感じさせてしまう不思議なところに小川さんの小説の魅力を感じている。物語そのものが純粋に構築されているから、読み手の地域的・年代的な相違は関係ない。その意味で註釈なしで外国語に翻訳できる数少ない作家ではないか。村上春樹とかよしもとばななよりも海外への発信可能性がもっと高い作家のように思っているのだが、単に私個人の好みに過ぎないのかな。

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