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2010年9月27日 (月)

デイヴィッド・P・カレオ『パワーの愚行:アメリカ一極支配の幻想』

David P. Calleo, The Follies of Power: America’s Unipolar Fantasy, Cambridge University Press, 2009

 著者はジョンズ・ホプキンス大学教授で国際政治経済やヨーロッパ政治が専門。冷戦の勝利、さらにはテロとの戦争という形で、たとえ「民主化」という理念であってもハードな軍事力を行使するアメリカの一極支配志向を批判するのが本書の趣旨。多極化した現代の国際社会において、正統性の根拠は同意に求められる。発想はリベラリズムだが方法論としてリアリズムとも言える立憲主義(constitutionalism)の立場をとり(ヨーロッパの立憲主義は、対外的な武力行使をためらわないアメリカのリベラルとは異なると指摘)、妥協と相互の譲歩を可能にする交渉のメカニズムが制度的に確立したヨーロッパ連合の方向性をこれからのモデルとして提示する。軍事、経済、政治哲学など幅広く目配りしながら叙述は簡潔。アメリカのユニラテラリズムをどのように考えるかという問題意識から理論的な整理をしたい場合にはうってつけだろう。

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