【映画】「Tattoo──刺青」
「Tattoo──刺青」
ネット上でチャットのぞき部屋のバイトをしている女子高生のジェイド(レイニー・ヤン:楊丞琳)は、刺青をしたいと思い入った店で、幼い頃に憧れていた「初恋」の女性、竹子(イザベラ・リョン:梁洛施)と再会した。ネット上ではしゃぐジェイドの姿は一見、軽佻浮薄にも見えるが、心の中にぽっかりあいた空虚感を満たそうにも軸足が定まらないという感じを受ける。そして、竹子が悔恨を刻み付けるかのように腕に彫った彼岸花の刺青。次第に求め合うようになる二人の同性愛関係を通して見えてくる過去のトラウマは、1999年の台湾大地震までさかのぼる。
刺青の持つおどろおどろしい形相は、空虚な内面を覆い隠すこけおどしになる。他方で、刺青を彫る痛みは、忘れがたい何かを心の深くまで刻み付ける。思春期の最中にあるジェイドの葛藤は、この両方の間で揺れ動く心情を表していると言えるのか。レイニー・ヤンのあどけない顔立ちに浮かぶ、ガキっぽかったり、時にエロティックだったり、喜怒哀楽様々にうつろう表情の変化が見所かな。レズビアン映画という位置付けらしいが、そっちの方には興味ないな。刺青について日本人の師匠が重々しく語るシーンがあるが、日本では高尚な芸術であるかのような理解なのか。
【データ】
原題:刺青/英題:Spider Lilies
監督・脚本:ゼロ・チョウ(周美玲)
2007年/台湾/97分
(DVDにて)
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