小山三郎編著『台湾映画──台湾の歴史・社会を知る窓口』
小山三郎編著『台湾映画──台湾の歴史・社会を知る窓口』(晃洋書房、2008年)
映画という切り口を通して台湾社会史を考える主旨の論文集。映画ファン向けではなく、あくまでも台湾研究者向けの生真面目な内容である。例えば、映画ファンが興味を持ちそうな1980年代以降の台湾ニューシネマへの言及はほとんどない。具体的内容としては、日本植民地統治下の映画受容(三澤真美恵論文の、台湾人弁士による翻訳・翻案→映画受容という場における「台湾化」という指摘に興味を持った)、大陸における文革に対する国民党政権下の反応(映画「苦恋」をめぐって)、上海・香港からの影響・交流、台湾語映画、映画制作会社、評論・出版、検閲などのテーマの論文が並ぶ。
映画というテーマを軸にして台湾と日本との関係を考えていく上では、田村志津枝『はじめに映画があった──植民地台湾と日本』(中央公論新社、2000年)が読みやすい。また、戦後台湾における映画作品とその背景との関わり方を知りたい場合には戸張東夫・寥金鳳・陳儒修『台湾映画のすべて』(丸善ブックス、2006年)が参考になる。
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