【映画】「沈まぬ太陽」
「沈まぬ太陽」
山崎豊子の原作は未読。舞台は日本のナショナル・フラッグ・キャリアたる某航空会社。エリート候補だが組合活動を指導していたことから会社上層部から睨まれていた恩地(渡辺謙)のサラリーマン人生を縦軸に、御巣鷹山墜落事故の遺族対応や社内改革をめぐるあつれきが描かれる。
企業の目的は収益性向上にあるのはもちろんだが、同時にその会社が担っている社会的ミッションへの誇り(航空会社の場合、安全運航)があってはじめて成り立つ。上層部の言う「会社のため」と恩地が言う「会社のため」のズレはそこにある。日本の高度経済成長というのも、単に経済発展というだけでなく、この恩地の人生に象徴される自分の仕事への社会的ミッションの自覚と誇りが会社への献身と結び付いた意識が下から支えていたからこそ可能であったと言える。
上映時は割合と評判が良かったように思うが、いざ観てみるとちょっと期待はずれ。ヒューマン・ドラマとしての筋立てと企業内暗闘の筋立てとがうまくかみ合っておらず、全体的に散漫・冗長の感が強い。
【データ】
監督:若松節朗
2009年/202分
(DVDにて)
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