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2010年7月30日 (金)

高橋五郎『農民も土も水も悲惨な中国農業』、温鉄軍『中国にとって、農業・農村問題とは何か?──〈三農問題〉と中国の経済・社会構造』

高橋五郎『農民も土も水も悲惨な中国農業』(朝日新書、2009年)
・農業竜頭企業(リーディング・カンパニー)が土地を買収し、農民を安く雇用→農民は自分の仕事に愛着を持てない、耕していくモチベーションがない→目先の利益優先、無責任が当たり前。
・肥料や農薬の問題→技術的な知識がなかったり、文字が読めなかったり→教育の問題。
・日本は食料自給がほとんど困難であり、かつ加工品リスクを考えると、輸入元である中国農業の問題は他人事ではない。中国の農業現場の考察は、さらに市場や流通、環境、教育、都市と農村との格差など中国社会の様々な諸相へとつながってくる。

温鉄軍(丸川哲史訳)『中国にとって、農業・農村問題とは何か?──〈三農問題〉と中国の経済・社会構造』(作品社、2010年)
・三農問題とは、農民(低収入、都市/農村の格差、社会保障が実質的になし)、農村(出稼ぎ、社会資本開発の遅れで荒廃)、農業(生産性が低い→低収入)の三つの問題を指し、著者の温鉄軍の提唱により広く普及した概念。
・分厚くて内容的にも必ずしも読みやすい本ではないので、巻末に収録されている著者インタビューから読み始めるのがいいだろう。
・中国農村をめぐる現代経済史を振り返る:朝鮮戦争のため工業化が不可避となった→1950年代からの社会主義建設は実質的に国家資本主義=政府会社主義→中央集権的な動員政策によって原初的蓄積(政府がイデオロギー管理によって労働者から剰余価値を収受)。
・ところが、1970年代以降の改革において政府は経済効率の悪い農業から撤退、言い換えると農民に対する社会的責任を放棄した→都市と農村の二元構造が出現したと捉える。
・近年の「改革」は西側の理論モデルを導入しようとしているが、それは中国社会のリアルな実態に適合しないという問題意識。
・ラテンアメリカ、インドなどの発展途上国との比較考察。

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