白波瀬佐和子『生き方の不平等──お互いさまの社会に向けて』
白波瀬佐和子『生き方の不平等──お互いさまの社会に向けて』岩波新書、2010年
・多様な生き方といっても、現実には当人の意図ではどうにもならない「たまたま」の機会によってその後の人生が左右されてしまう問題。出発点が不平等なのに自己責任原則が強調されることをどう考えるか? 本書はライフステージの節目ごとにおける問題点をデータに基づいて検証する。
・生育環境や教育機会という点での出発点での格差→子育て支援、再配分政策が必要。
・過渡期の若者→一度のつまずきが将来にひきずらない制度作り。
・労働市場におけるジェンダー格差。
・これまでの生き方の蓄積で不平等が最も顕在化する高齢期。
・リスク分散としての社会的連帯の必要。出発点での格差を縮小するため「御破算システム」検討も考慮。
・当事者ではない問題に追体験はできないにしても社会的想像力を強調。
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