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2010年7月19日 (月)

小沢信男『東京骨灰紀行』

小沢信男『東京骨灰紀行』(筑摩書房、2009年)

 てくてく、てくてく、東京歩き。ただの文学・歴史散歩ではない。訪ね歩くは、死者の呼び声。別にホラーじゃないし、鎮魂といった深刻なものでもない。「桜の木の下には死体が埋まっている」とは梶井基次郎の小説にあるフレーズだが、この伝で言うなら、東京の下には死体が埋まっている、だからこそ、この都市の華やかでもあり時に虚しくもある、言い知れぬ厚みが形成されている。彼らにちょっくら挨拶でもしとかんと礼儀に外れるのではあるまいか。

 江戸時代の明暦の大火から上野の彰義隊、関東大震災、東京大空襲、最近では地下鉄サリン事件。事件史から見てもおびただしい人々が死んでいった。有名人の墓参りもするし、非業の死を遂げた人々も忘れてはならない。小伝馬町の牢獄、小塚原の刑場跡、遊女の投げ込み寺。普段は気にかけることのないネクロポリス東京、そこを勝手知ったる小沢じいちゃんがご近所をうろつくようにざっくばらんな語り口調で道案内してくれる。私も東京はよく歩き回り、本書に登場する場所もあらかた知っているが、結構見落としは多い。例えば、築地本願寺に台湾物故者の霊安所があるのは知らなかった。

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