小林英夫『「日本株式会社」を創った男──宮崎正義の生涯』
「満洲」体験がその後の日本経済システム再編に影響したという議論の中で登場する一人に宮崎正義がいる。小林英夫『「日本株式会社」を創った男──宮崎正義の生涯』(小学館、1995年)は彼の生涯を描き出している。ペテルブルク大学に留学、ロシア革命の混乱期に帰国した宮崎は満鉄に入社、ロシア問題や経済問題の専門家として頭角を現した。石原莞爾から信頼されて経済問題についてのアドバイザーとなったことから政策立案に関わり始める。自由放任経済の問題点を踏まえ、資本主義でも共産主義でもない統制経済、すなわち企業組織における「資本と経営の分離」を促してそれに対して官僚=テクノクラートが主導する経済システム構築というアイディアを出した。これがその後のいわゆる「日本株式会社」につながったと総括される。
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