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2010年6月13日 (日)

「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」

「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」

 ビルの解体現場で働くケンタ(松田翔太)とジュン(高良健吾)は孤児院のときからの幼馴染み。現場の仕切り役からいつもバカと罵られ、賠償金と称して金を巻き上げられていた彼らは会社の事務所を滅茶苦茶にしてトラックを盗んで逃げ出す。ジュンからブスと怒鳴られても離れないカヨ(安藤サクラ)もついてきた。行き先は、兄貴のいる網走。その先に何があるのかは分からない──。

 「この世には自分の人生を選べる奴と選べない奴の二種類の人間がいる。俺たちは選べないんだ。」自分の手ではどうにもならない、目に見えない壁に取り囲まれたような鬱屈した感覚、抜け出せない絶望感。彼らが抱えた、ぶち壊したい!という攻撃的態度は、人生がうまくいかなくて気持ちが荒んでいるというのではないし、「自分の人生を選べる奴ら」に対するルサンチマンというのとも違う。この世に生まれてきても最初から自分の居場所がない、そのやり場のないパセティックな苛立ち。

 こういうタイプのロードムービーとしては岩井俊二監督「PiCNiC」も思い浮かべた。ただし、こちらの場合、ストーリーは寓話的かつ岩井独特の映像美もあってリリカルな感傷を呼び起こすのに対し、「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」の方は現実にあり得る設定のようにも思えて、観ていてやりきれない苦さが感じられてきた。

【データ】
監督・脚本:大森立嗣
出演:松田翔太、高良健吾、安藤サクラ、新井浩文、宮崎将、柄本明、小林薫、他
2009年/131分
(2010年6月13日、新宿ピカデリーにて)

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「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」★★★ 松田翔太、高良健吾、安藤サクラ出演 大森立嗣監督、131分 、2010年6月12日、2009,日本,リトルモア (原題:ケンタとジュンとカヨちゃんの国 )                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 「この映画にも高良健吾が出てるよ、 なんだか気になり劇場へ、 映画は自分探しの旅というか、 探せない3人のロードムービーを見た」 なんとももどかしい... [続きを読む]

受信: 2010年6月27日 (日) 00時05分

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