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2010年6月 2日 (水)

今日マチ子『センネン画報 その2』

 『センネン画報』(太田出版、2008年)を以前たまたま書店で見かけ、何となく良いなあと思って買って以来、今日マチ子作品のファン。第一弾ではカラーは3分の1くらいだったが、今回の『センネン画報 その2』(太田出版、2010年)はオールカラー。水色の情感がポイントだから嬉しい。最初は売れ行きを危ぶんでコスト抑制のため一部カラーとしたのだろうが、実績は好調、今回はオールカラーでも採算は十分とれると見込んだのだろう。

 青を基軸とした背景に繊細な線、水彩のさわやかな透明感が実に良い。高校生活のワンシーンを切り取るような題材、この水色の色合いからは思春期の感傷が静かに浮かび上がってくる。ストーリーものより、セリフのない一つ一つのカットの方が私は好き。学校の教室、白いカーテンがそよ風に揺れているところなどノスタルジーをかき立てられる。雨の日が多い。アパートの片隅のたたずまい。公園や川辺では草むらが風になびいている。夏は涼しげに、冬の夜は寒そうな仕草に叙情的なものが感じられてくる。

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