「フローズン・リバー」
「フローズン・リバー」
雪の白さ以外には何もない町、厳寒の身を切るような冷たさは人の気持ちまでかたく閉ざしてしまうのか。アメリカ・カナダ国境を流れるセントローレンス川は凍りついて車でも渡れる。アメリカ事情には疎いのだが、先住民の保留地では一定の治外法権が認められているのは初めて知った。部族警察はアメリカ・カナダの警察と協調しているが、法のすき間を縫って密入国業者が暗躍しているらしい。
白人とモホーク族の女性二人、それぞれ家庭的な問題を抱えており、生活費を稼ぐためやむを得ず密入国者手引きの仕事に関わり、トラブルに巻き込まれてしまうというストーリー。クライム・サスペンス風の設定だが、むしろ二人の母親が互いに抱いた感情的なわだかまりが事件をきっかけに雪解けしていくというヒューマン・ドラマである。監督も主演二人も女性。監督は、女性が主人公だとアクションドラマとして面白くないと言われて発奮したことがあるらしい。母子家庭の生まれで、生活費のやりくりをする母親にとっては毎日がアドベンチャーだったと語っている。そうした生い立ちがストーリーにも反映されているのか、当事者目線に立った切迫した焦りが描かれている。
【データ】
原題:Frozen River
監督:コートニー・ハント
2008年/アメリカ/97分
(2010年3月5日、渋谷・シネマライズにて)
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