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2010年3月20日 (土)

アーヴィング・ゴッフマン『スティグマの社会学──烙印を押されたアイデンティティ』

アーヴィング・ゴッフマン(石黒毅訳)『スティグマの社会学──烙印を押されたアイデンティティ』(改訂版第2刷、せりか書房、2003年)

・他者からの社会的信頼を著しく失わせる属性としてのスティグマ。正常/異常という対立そのものの是非ではなく、こうした社会現象が現実にあることを前提として、これをめぐる人びとの行動パターンを社会学的に分析。本書ではアメリカ社会における身体的ハンディキャップ、病者、同性愛者等々が中心で、人種的・民族的レベルまでは踏み込まず。
・スティグマを隠して越境(自らにまつわる情報の管理・操作)→パッシング(passing)→多様な生活上の準拠枠組みの中で二重生活、いつ露見するかという不安の中での生活→社会的アイデンティティ(社会関係における空間的なアイデンティティの分割)、個人的アイデンティティ(二重生活を管理・操作しなければならない内面的なアイデンティティの分割、一歩進んで社会的統合の工夫)、自我アイデンティティ(社会的にも内面的にも分割状況にあることの認識→アイデンティティとして定着)。
・社会化の段階:まず常人が持つ視角を学習→その視角から見て自分が失格していることを理解→常人が相手をどのように処遇するのかを学習→越境の仕方を会得。
・「常人のなかのもっとも幸運な人びとでも半ば隠れた欠点をもつのが普通であり、しかもどんな小さな欠点もそれが大きな影を投ずるときは、即時的な社会的アイデンティティと対他的アイデンティティの間に世人の目を避けたくなる乖離を生ずるようになる機会が社会には存在するのだ。たまに不安定な人と、常時不安定な人とは一つの連続体の上にある。つまり二つの型の人びとの生の状況は同一の枠組みで分析することが可能なのである。」(214ページ)。
・常人の役割とスティグマのある者の役割は同一部分の複合体。「恥ずべき差異」という概念自体が共通。→スティグマのある人は「逸脱点のある常人」。言い換えれば、その個人に固有の属性というのではなく、相対的な関係性の問題。
・「スティグマとは、スティグマのある者と常人の二つの集合に区別するっことができるような具体的な一組の人間を意味するものではなく、広く行なわれている二つの役割による社会過程を意味していること、あらゆる人が双方の役割をとって、少なくとも人生のいずれかの出会いにおいて、いずれかの局面において、この過程に参加していること」。「常人とか、スティグマのある者とは生ける人間全体ではない。むしろ視角である。それらは、おそらくは出会いを機に具体的に作用することになる未だ現実化していない基準によって、さまざまの社会的場面で、両者が接触する間に産出されるものである。」→常人、スティグマ所有者の区別は役割の相対的な相違→「多くの場合ある面ではスティグマのある個人が他の面でスティグマのある人びとに対して抱く偏見が全部常人のものそっくりそのままであっても、驚くにはあたらない」(231~232ページ)。

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