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2010年3月 7日 (日)

田中奈美『北京陳情村』

田中奈美『北京陳情村』(小学館、2009年)

 北京南駅近く、信訪局に陳情すべく地方から上京してきた人々の集う「陳情村」。陳情者の多さは地方政府にとって失点であり、一度陳情するとそれをいやがる地方政府からにらまれ、仕事を失い、経歴書に明記され、もう退路はない。ノンポリ・ライターの描く彼らのアグレッシブな表情には屈託がないが、軽いノリの筆致からも精神的に追いつめられている焦りが浮かんでくる。

 中国社会に法治原則が確立されていないため、その結果として陳情へと駆り立てられていく問題は、例えば陳桂棣・春桃(納村公子・椙田雅美訳)『中国農民調査』(文藝春秋、2005年)、『発禁『中国農民調査』抹殺裁判』(朝日新聞出版、2009年)が具体的に描写している(→こちらで取り上げた)。先日読んだ佐藤千歳『インターネットと中国共産党──「人民網」体験記』(講談社文庫、2009年)でも、新華社に一時勤務していた著者が陳情書を受け取ったことで上層部とのトラブルに発展してしまった顛末が記されていた。

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