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2010年1月 1日 (金)

西澤泰彦『日本の植民地建築──帝国に築かれたネットワーク』

西澤泰彦『日本の植民地建築──帝国に築かれたネットワーク』(河出ブックス、2009年)

 建築様式ばかりでなく、建築家及びその所属する組織、レンガ・セメント・鉄など建材の調達、建築情報の伝播──本書はこうしたヒト・モノ・情報のネットワークとして日本支配下の台湾・朝鮮半島・中国東北地方(旧満州)における建築史を捉えていく。

 日本が植民地に建てた建物は台湾・朝鮮総督府をはじめ西洋の様式が基本である(日本様式は神社などに限られる)。明治期以来の日本の建築教育の事情もあるが、欧米諸国との協調により東アジア支配を行なうという状況のもとで欧米に引けを取らないものを示そうという意図のあったことが指摘される。満州事変を転機に台湾・朝鮮・中国それぞれの様式を取り入れたデザインが現われたというのが興味深い。大東亜共栄圏イデオロギーによるのだろうか。鉄筋コンクリート造は白アリ対策のため日本よりも台湾でいち早く普及、しかし問題点が見つかるのも早く、その調査を通して技術向上、結果としていわばパイロットテストのような位置付けにもなったようだ。

 日本と植民地とを従属の関係として捉えるのではなく、植民地相互の行き来、さらには日本帝国外へも広がるネットワークがあった。その中で建築家たちは様々な建築を見る機会を得て、日本だけでは得られない情報を手にしたことにより建築に関しては世界レベルでの先進性を持っていたと指摘される。

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