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2009年12月24日 (木)

大内伸哉『雇用はなぜ壊れたのか──会社の論理vs.労働者の論理』

大内伸哉『雇用はなぜ壊れたのか──会社の論理vs.労働者の論理』(ちくま新書、2009年)

 著者は労働法の研究者。生産性向上を目指してコストの効率化を図る“会社の論理”と、ヒトとして生きていく権利を保障すべき“労働者の論理”。それぞれ正当性を主張する根拠があるものの、あちら立てればこちらは立たずという難しさ。両方の論理の線引き、比較考量を行なうルールとして労働法を位置づけ、社内不倫、女性への雇用差別、残業、労働組合、学歴、解雇、報酬、定年、非正規雇用、雇用と自営の違いといった具体的な問題の中でこの二つの論理がせめぎ合う場面を一つ一つ検討していく。

 仮に会社側・働く側に合意があったとしても、労働法の規制がある場合(たとえば労働時間など)、力関係で強い立場にある会社による押し付けの可能性を想定して、当事者に決定の自由はないとされる(強行法規)。例外がいくつかあり、その一つが管理職への適用除外→コスト削減策としての「名ばかり管理職」の問題になった。会社が労働力を調達するにあたり、①雇用、②業務委託契約、③労働者派遣がある。業務委託契約については当事者は自営であって民法上、対等の契約となる。労働法の適用なし=自己責任とされるが、実態が雇用と変わらない場合には使用従属関係によって判断される。

 基本的には労働法のくだけた概説という感じで、タイトルが内容を必ずしも表わしているわけではないが、法的論理の思考訓練としてなかなか面白い本だ。

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