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2009年12月20日 (日)

「誰がため」

「誰がため」

 コペンハーゲンのレトロで清潔感のある道路の石畳、そこに響き渡ったドイツ軍の軍靴の音。ナチス・ドイツ占領下のデンマークではレジスタンス運動が高まり、この美しい街並もあちこちで生々しい傷痕を見せている。

 銃を懐にターゲットへと近寄る二人、フラメンとシトロンが狙うのはナチに魂を売った裏切り者。組織上層部の命令で暗殺に手を染める二人だが、あるターゲットと交わした会話をきっかけに、心の中で疑念がきざす。ひょっとして、俺たちは無実の人間を殺しているのではないか? ゲシュタポのトップを直接狙いたいと上層部に言っても、それは絶対にダメだ、と釘をさされてしまう。誰の言うことなら信用できるのか? 疑心暗鬼で神経を憔悴させる中、ゲシュタポの包囲網は狭まりつつある──。

 二人とも戦後は“英雄”とされた実在の人物だという。最新の史料公開を踏まえてこの映画は作られているそうで、その中にはデンマーク現代史のタブーに触れる側面もあるらしい。自分たちのやっていることは正しいことなのかという疑いはシリアスなものである。それ以上に、こいつは裏切り者なのか、それとも二重スパイなのか、罠にはめられているのか、そのように情報のパズルがかみ合いそうでかみ合わない迷宮的な緊張感には、二時間以上の長丁場をグイグイ引っ張っていく迫力があった。

【データ】
原題:Flammen & Citronen
監督・脚本:オーレ・クリスチャン・マセン
出演:トゥーレ・リントハート、マッツ・ミケルセン、クリスチャン・ベルケル
2008年/デンマーク・チェコ・ドイツ/136分
(2009年12月20日、渋谷、シネマライズにて)

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